10年ぶりにデザインと回路構成を刷新した7.2.2ch Dolby Atmos対応AVレシーバー

RX-V6A
    筆者の使用環境
  • Windows10 64bit
  • GV-N2070WF3-8GC
  • ASUS XG32VQR

※2020/12/24配信のファームウェアVer1.26により数々の不具合・不満点が解消したため、該当部分を修正しました。個人的にかなりポイントの高い修正箇所が多かったです。特にカラーボタンに割り当てたシーン機能の挙動は待望の改良ポイントで、相当に利便性が向上しました。なお、アップデート直後に遭遇した不具合なのですが、オンスクリーンディスプレイによる各種情報(SETUP画面など)が特定の映像ソースに限って一切出ず、黒い画面だけが映るということがありました。これはRX-V6A本体の電源コードを抜くことで再起動をかけると直りましたので、同様の不具合にあった場合は試してみると良いかもしれません。

◆注目ポイントPickup◆

  • Dolby Atmos対応(RX-V4AはAtmos及びVirtualizer未対応)
  •  従来のDolby Surroundに高低差の概念を付加した新規格Dolby Atmosに対応しています。これにより、よりリアルな表現が可能となったのですが、そのためAtmosは従来の環境(5.1chや7.1chなどの構成)に追加でプレゼンススピーカーが必要となりました。RX-V6Aはプレゼンススピーカーの追加設置に対応しています。 しかし、これは高い位置に設置する必要があるため一般家庭ではハードルがやや高いのが難点です。それを解消するために作られたのがDolby Atmos with Height Virtualizerです。
     この技術により、実際にはプレゼンススピーカーを設置することなく、仮想的にプレゼンススピーカーを再現します。Virtualizerは発売時点では未対応ですが、ファームウェアのアップデートにより対応される予定です。追記:2021/06/10のファームウェアVer.1.34で実装されました。使い方はこちら
  • 4K/120Hz対応
  •  中長期を見据えてもしばらくは十分な対応幅かと思います。4K/120FPSの動画やゲームが全盛になるなどまだまだ相当に先ですから。8Kなんて言わずもがな。
     なお、YAMAHAの初報のプレスリリースでは8K/60Hz対応としていたためやや混乱を招く状況になっていますが、最大解像度/リフレッシュレートは4K/120Hzが正式な案内となります。8K/60Hzには(事実上)対応していません。他社と比べると8Kアップコンバートには対応していないのがネックな所でしょうか。4Kアップコンバートには対応しています。ちなみに、発売時点では4K/60Hzまでで、4K/120Hzにはファームウェアのアップデートで対応される予定です。

     2020/12/02追記:ヤマハから正式な案内がありました。一部の次世代ゲーム機器(Xbox series Xの事です。海外の記事によるとRTX30カード搭載のPCも対象のようです)での4K/120Hz対応に支障がある(ブラックアウトする)ことを確認したそうです。 海外では現在市場に流通しているHDMI2.1対応AVアンプはメーカー問わず全てのHDMIチップにバグがある(どのメーカーも同じチップを使っているからです)と報道されていたものの、ヤマハや国内メディアは沈黙していたため注視だけしていましたがやはり対応は難しいということになりそうです。

     どう対処するかはまだ検討を続けているようですが……本件のバグはファームウェアのアップデートでは修正出来ないのではと指摘されているので、これから買おうと思っている人は注意が必要でしょう。 ちなみに、正式に案内されているわけではないので未確定ですが、HDMI出力の実装がXbox series Xとは異なるため、このバグにPlayStation5が影響することはないようです。 なお、ヤマハは現時点での現実的な対応として、eARCでの接続を案内しています。

    参考リンク「AVレシーバーの次世代ゲーム機との互換性について[jp.yamaha.com]

     RTX30カードについて追記:海外での同チップの追加検証によると、VRR(DisplayPortで言うところのG-SYNCやFREESYNC/Adaptive-Sync)を明示的にOFFにすることでブラックアウトを回避出来たとのです。どうも、XSXはこれを明示的にOFFに出来ないため回避できないというのが現状のようです。

    ※2021/05/24日に対応策が発表されました。該当機種は基板の無償交換となります。2021年9月頃からの予定です。

    参考リンク「AVレシーバー『RX-V4A』『RX-V6A』『RX-A2A』の次世代ゲーム機およびグラフィックボードとの互換性につきまして[jp.yamaha.com]

  • 7系統のHDMI入力に対応(RX-V4Aは4系統)
  •  同価格帯では6系統が多い中、7系統持っています。また、同価格帯では8K/60Hzに対応していても、4K/120Hz以上の対応は1系統だけといったアンプが多いのですが、RX-V6Aは1~3までが4k/120Hzに対応しています(1~3がHDMI2.1、4~7がHDMI2.0a)。また、HDMI出力の電源供給能力が前世代の150mAから300mAに向上しています。
  • 対応しているファイルフォーマットのサンプリング周波数は384kHz[WAV、FLAC、AIFF]と比較的高いです。(RX-V4Aは192kHzまで)
  • ボリュームは0.5dB刻みとなっています。

本体周り

 完全に真っ黒で正面は鏡面仕上げになっています。物理ボタンは電源ボタンとセレクターノブの押し込みスイッチのみで、タッチパネルボタンがシーン切り替え(1~4まで)の4つと、メニューとリターンの2つとなっています。真ん中に大きなボリュームノブが鎮座していて、非常にシンプルな構成です。ボリュームノブの操作感は重めでクリック感がなく、セレクターノブは軽めでクリック感(切り替わる毎に軽く抵抗がある感じ)があります。長らく所有してきたDSP-AX450との比較になりますが、外観の良さはRX-V6Aが上、ノブ操作の品質はDSP-AX450が上と感じました。

 フロントディスプレイ表示もまた非常にシンプルです。これは賛否が分かれるところだと思うのですが、表示される情報がDSPプログラム、オーディオデコーダー、出力チャンネル、HDMIステータス、システムステータスと5段階に分散しており、この中のどれか一つしか表示されません。ここに、共通して音量と現在の入力ソース(例:HDMI1、AUDIO1など)が表示されます。DSP-AX450は全ての情報が一括して表示されていたのでこれには少し面食らいました。せめてDSPプログラム、オーディオデコーダー、出力チャンネルの3点は同時に表示して欲しいところです。

機能面についてあれこれ

Nintendo Switchとの接続

 ファームウェアver1.26で解消しました。正常に4Kアップコンバートが動作しています。ディスプレイは映像ソースを4Kとして認識し、WQHDにダウンコンバートするという狙い通りの挙動です(ダウンコンバートはXG32VQRの機能です)。

 Nintendo Switchは1080p出力なので4Kアップコンバートを少し期待していましたが、XG32VQR(WQHDのディスプレイ)では無理でした。このディスプレイには、PlayStation4Proを繋げると、PS4Proからは4Kとして認識し、4Kとして受けた信号をWQHDにダウンコンバートする機能が搭載されています。
 なので、RX-V6Aで1080pを4Kにアップコンバートして、4Kとして信号を出せるかと思ったのですが……アップコンバートをONにした途端、ディスプレイ側は信号無しと認識してしまいました。 まあ、これは出来なくても仕方ないと思っていたので、ある意味予想通りではありました。もちろん、アップコンバートをOFFにすれば問題なく使えますし、ディスプレイが普通の4KものでしたらONにしても使えるはずです。

PlayStation4Proとの接続

 PS4Pro側からは4Kディスプレイとして認識し、ディスプレイ側は4Kとして受けた信号を正常にWQHDにダウンコンバートしています。当環境の従来通りの使い方そのままで、HDRなども特に問題は見当たりません。

 下記の内容はファームウェアVer1.26で解消しました。PS5で検証しましたが、バンディングは発生しなくなっています。

 追記:実は設置時に動作確認しただけで普段はHDRを使っていないため(HDRという規格自体の輝度が高すぎるのが体に合わないのか、どう調節しても20分もプレイし続ければ気持ちが悪くなるのです……)全く気付かなかったのですが、気紛れにHDRにして遊んでいたところ階調が粗くなっていることに気付きました。ディスプレイ直付けでは発生しなかったことですが、グラデーションで表示されるべき部分が段々の縞模様のようになっています。いわゆるバンディングやマッハバンドと呼ばれるものです。

 PS4Proの4KはRGBで出力されますが、4K HDRはPS4Proが対応しているHDMI規格の帯域が足りないためYUV(これによりRGBより情報量を節約しています)で出力するようになっています。これらの要素を踏まえ、YUV且つHDRという出力をRX-V6Aが上手く処理出来ていないのが原因かと推測したのですが、1080pのHDR(この解像度ですと帯域は足りるためRGBで出力されます)でも同様にバンディングは発生しました。また、SDR(非HDR)のYUVでは問題がありませんでした。つまり、YUVが原因ではないように思われます。

PS4ProのHDRの仕様を表で記すと下記のようになります。

解像度 HDR カラーフォーマット
4K ON 強制的にYUV422又はYUV420
4K OFF RGB又はYUV(任意に切替可)
1080p ON RGB又はYUV(任意に切替可)
1080p OFF RGB又はYUV(任意に切替可)

 PlayStation5のHDRで検証してみたところ、PS4Proと同様に直付けでは問題ありませんでしたがRX-V6A経由ですとバンディングが発生しました。PCのHDRでは直付け、RX-V6A経由のどちらともバンディングは確認出来ませんでした。

 なお、可能性を排除するため、ケーブルは全て同じ物を使ってテストしています(カタログスペックで18Gbps対応品)。

 これまでの検証を総括して考慮すると、RX-V6A経由でバンディングが発生しないのはGeforce系(PC)、発生するのはRadeon系(PS4Pro、PS5)ということから、Radeon系のHDRとRX-V6Aの相性が原因なのではないかと推測しています。

PlayStation5との接続

 PS5側からは4Kディスプレイとして認識し、ディスプレイ側は4Kとして受けた信号を正常にWQHDにダウンコンバートしています。XG32VQRのHDMI端子は2.0までしか対応していないため、PS4Proと同様に4K/60HzのHDRにはYUVが使われます。 なお、HDMI2.1対応ディスプレイであっても、PS5で4K/60HzのHDRを使う場合はRX-V6AのHDMI2.1対応ポートである1~3を使わないとRGBで出力できません。

 PS5が2022年9月7日配信のシステムソフトウェアアップデートでWQHDに対応したので追記。RX-V6Aを通しても正常にWQHDで認識されました。これによりディスプレイ側のポートがHDMI2.0に制限されていても、WQHD/120HzのHDRをRGBで使用可能となりました。

PCとの接続

 前述しましたが、当方のPCメインモニタはXG32VQR(WQHD/144Hzのディスプレイ)です。WQHDなので対応していなくても諦めるつもりだったのですが、意外や意外。WQHDの144Hzに難なく対応していました。直接繋いだ状態と何ら変わりなく不具合も見当たりません。

 これでHDMIの出力ポートを使ったサラウンド環境が構築できます。あまり話題になりませんが、PCにおけるHDMIの音声出力というのは地味に難しい部分がありますので。というのも、PCとAVアンプに相性があるのか、間にAVアンプを挟むとPCが不安定になることが多いらしいです。画面が不定期に短くブラックアウトしたり度々オーディオデバイスを見失ったり等々……。まだ油断せず注視してはいますが、今のところは安定しているようです。

 この欄は極めて特殊な用途の話なので該当しない方は読み飛ばして下さい。

 一点だけ直付けと違うのは、AVアンプを介するとディスプレイの専用ツールであるDisplayWidgetの認識を通さないということです。OSからは間違いなくXG32VQRとして認識しているのですが、DisplayWidgetから見ると対応外モニターとなり、このソフトは使用不能になります。

 対処法としては、AVアンプを介したHDMIポートと同じグラフィックカードから同じディスプレイへDisplayPortを認識させてマルチディスプレイを構築し、AVアンプを介したHDMIとディスプレイに直付けしたDisplayPortでディスプレイを複製させます。つまり、ディスプレイの入力ソース1と入力ソース2で全く同じ内容が映されているという状態です。映像として画面に映すソースはどちらでも良いです(完璧な安定性を取るなら直付けの方)。これでDisplayWidgetに対応ディスプレイとして認識させることが出来ます。

 但し、この構成にするとHDRが使えなくなります。HDRはミラーリングの環境に対応していないからです。これを避けるには複製ではなく拡張にする、又はDisplayWidgetを諦めるといった選択肢があります。

 ここで勘の良い方はDisplayPortを映像ソースにして、AVアンプを経由したHDMIの映像を切った上で音声だけ取れば良いのにと気付いたかも知れません。ですが、ここがPCのHDMIにおける罠なのです。実はHDMIは映像を伴わずに音声だけを出力することが出来ない規格なのです。例えば、Windowsのディスプレイ設定からHDMIの映像を切ると、HDMIから出ていたオーディオデバイスも消滅します。厄介なことに。

 つまり、音声を取ればDisplayWidgetが使えず、音声とDisplayWidgetを取ってミラーリングにすればHDRが使えず、音声もDisplayWidgetもHDRも取れば無駄な拡張領域を設けざるを得ず、なわけです。何とも悩ましいものです。

 なお、DisplayPortとHDMIでミラーリング構成した場合、PCを起動する時に優先して表示されるのは当環境ではHDMIとなりました。

 PCには光デジタルによる音声出力があるのに何故HDMIが欲しいかというと、ゲームのサラウンドには、サラウンドチャンネル且つ圧縮プロセスの入らないPCM出力なHDMIが必要なんですね(光デジタルでは帯域が足りずPCMですと2ch分しか取り出せません)。圧縮というのは映画などでお馴染みのDolby DigitalやDTSといったあの規格です。実はこれらの規格はリアルタイムで音を生成するゲームでは使えません。コンシューマーゲーム機はゲーム機側でリアルタイムに圧縮する機構が内蔵されているので使えるのです。PCではそれを解消するためにリアルタイムに圧縮プロセスを挟むDolby Digital Liveなどの製品があったりするのですが、HDMIから生のサラウンドPCMを取り出せれば言うことはないというわけです。

PCの運用について

 気になるのはPCを起動した状態でのソースの切り替え時の挙動だと思いますが、映像ソースや音声ソースを切り替えても裏ではパススルーを維持し続けているので、PCがデバイスを見失ったり、再検出しようとしたりなどはしません。気をつけるべきポイントはPCを起動している間はAVアンプの電源を落とさないことです。また、PCの起動前に必ずAVアンプの電源を入れておくことも忘れないでおきましょう。うっかり電源ボタンを押して落とそうものなら、その瞬間にPCは映像と音声のデバイスを見失います。「HDMI設定」>「スタンバイパススルー」をONにしておけばスタンバイ状態でもパススルーし続けるので、RX-V6Aの電源をOFFにしてもデバイスを見失いません。ただし、見失いはしませんが、RX-V6Aの電源のON/OFF時に一瞬だけ画面を再検出するため軽くチラつきます。

 なお、スタンバイパススルーをONにしておくと、RX-V6A本体の電源をOFFにしても電源コードが繋がっている限りはHDMIの出力ポートから黒い画面(スタンバイ状態)が送られているので、PC用のディスプレイは信号有りと判断するため自動で消灯しません。PCをシャットダウンした後はRX-V6Aの電源と共にディスプレイの電源も切りましょう。

 2021/04/10しばらく運用してみてからの追記(環境次第だと思うので話半分でお願いします):他の接続機器は問題ないのでPC限定での話です。購入当初は調子が良かったのですが、たまに音声や映像が途切れるようになってきたのでケーブルを変えてみたりしたものの、しばらくするとまた発生する。 という症状にあれこれ試行錯誤しては悩んでいたのですが、トリガーが判明しました。HDCPを必要とするような部分に触れると100%再現することを確認しました。例えばブラウザでAmazonの配信サービスにアクセスする、iTunesで購入したビデオコンテンツを再生する、などですね。

 これが発生すると、以降はPCの再起動を掛けるまで永続的に一定周期で一瞬だけブラックアウトします。逆に言うと、そこに触れさえしなければ非常に安定しており、類似の現象には一切遭遇していません。ゲームやゲーム内動画等でHDCPが使われることはないので、著作権保護されたビデオコンテンツさえ意識的に避ければ大丈夫ではあります。もちろん、この現象はディスプレイ直付けでは発生しないことを確認しています。

 再起動以外で復帰できる方法はないかと色々試したのですが、NVIDIAコントロールパネルからG-SYNCをON・OFFする時だけ一定周期のブラックアウトから抜けることが出来るようです。この現象自体はG-SYNCのON・OFFに関わらず発生するのですがね。恐らく、グラフィックカードを何らかのレベルで再検出させれば抜けられるようになっているとは思うのですが、ディスプレイの再検出や出力のON・OFFなどでは駄目でした。アプリやバックグラウンドのタスクを片っ端から終了させてみる、アンプの設定を弄る、なども無駄のようです。

Pure Directについて

 挙動がかなり徹底しています。Pure DirectをONにするとRX-V6Aのフロントディスプレイを完全に消灯して、HDMIに乗せて表示する設定メニューも開けなくなる徹底ぶりです。点灯しているのは小さなPure Direct用のランプのみなので、一見すると電源が落ちているようにしか見えません。

 それは頼もしくすらあるのですがソース毎にその状態を保存するのではなく、Pure Directモードという全てのソースに跨がる特殊モードのような扱いなので、使い勝手は只のサウンドモードの一つであったDSP-AX450のDirect Modeに比べると幾分か落ちます。但し、シーンに再生モードを含めることが出来るので、Pure Directの有無をシーンの設定内容に登録することで利便性は向上します。また、シーンは音量まで登録できるので非常に使いやすい機能となっています。是非活用しましょう。

 ヘッドホン使用時:元々ホワイトノイズは小さめなので分かりづらいですが、さらにノイズが減ります。2ch Stereoと比較すると聴感上の音量が低めです。最初はあまり違いは分かりませんでしたが聞き込んでみると全体的に引き締まった音になるように感じました。

 スピーカー使用時:露骨に変わります。2ch Stereoとの比較でも非Pure Directでは加工されているんだなとハッキリ分かるレベルです。サブウーファーを使わずに音楽の試聴をするならPure Direct一択だと思います。

シーンの仕様について

 ファームウェアVer1.26で解消しました。カラーボタンに追加したシーン機能は、通常のシーンボタンと同様の挙動(ボタン長押しによる登録)を取るようになりましたので、自由に登録することが可能となりました。

 シーンの数はデフォルトでは4つまでですが、RX-V6Aは設定でカラーボタンにさらに4つ追加できます(RX-V4Aは追加不可)。ところがカラーボタンに追加したシーンのソースを自分で登録する手段がありません。自由度が低すぎてさすがにこれはどうかと思います。もちろん、追加ではないシーンボタンには自由に登録できます。

MusicCastアプリについて

 設定幅は狭く、普段使い(具体的にはシーン、入力ソース、DSPプログラムの切り替え)に特化しているようなアプリといったところでしょうか。レスポンスも良く切り替えの使い勝手は悪くはないと思うのですが、Pure DirectやStraightへのアクセスが何故にこんなにメニューの深い位置にあるのでしょうか……。無駄に表示領域のスペースは余っているようなので、今後の要望としては本体に表示される各種情報を一括で表示してくれると嬉しいです。難しいのであれば使う機会の多いStraightや、特に全体モード扱いであるPure Directへの簡単切り替えを切に願います。

Dolby Atmos with Height Virtualizerについて

 その内マニュアルにも記載されるでしょうが、ちょっと設定が分かりづらかったので記事に書いておきます。RX-V6AのOSD設定メニューから「音声設定」-「バーチャルスピーカー」-「Doby SP Virtual」をオンにします。Windows10のスピーカーのセットアップをDolby Atmos for Home Theaterにします。アンプのDSPプログラムをSTRAIGHTかSUR.DECODEにします。設定が正しければ、Atmosソースを再生するとRX-V6Aのフロントディスプレイ(表示はオーディオデコーダー)にAtmos/PCM又はAtmos/DD+と表示されます。DD+のみなど、Atmosの文字がなければAtmosとして認識していませんので設定を見直しましょう。設定が間違っていると仮想化されている(はずの)プレゼンススピーカーの音の位置関係が明らかにおかしいことになっているので、テストするとすぐに分かります。

総評

 総合的に見ると、PCに安定して繋げるというこの一点で大満足です。豊富な端子数と対応幅で、長く使えそうな良い機種だと思います。やや使いづらい部分もシーンを活用することで大幅に利便性が向上するため気になりません。アンプ本体での操作以外は以前より便利になったと言って良いでしょう。

 ただ、本体やアプリでは弄れる範囲がかなり制限されており、設定の大部分がディスプレイ(テレビ画面)に表示させた項目を選択するようになっています。つまり、かなりの割合でリモコンに依存しているためリモコンが壊れないかが心配なところです。

 こんなこともあろうかと、と愛用の学習リモコン(RM-PLZ430D)に学習させてみましたが、音量などの基本的な部分以外は見事に対応しておらず仕方なく純正のリモコンをそのまま使っています。記事を読んだ方から、ウチでは問題ありませんと指摘を受けたので再度トライしてみたところ、何の問題もなく通りました。単に登録の手順を間違っていたのか、前のリモコンが壊れていたのか(今使っているのは前回と同機種の2台目です。ボタンの調子が悪くなっていたので買い換えました)のどちらかだと思います。前回は学習リモコンの設定手順がうろ覚えな記憶頼りに登録作業を行ったので、不覚にも前者のような気はしますが。訂正してお詫びします。基本的には純正リモコンとほぼ同等の操作が出来ますが、シーンボタンを長押ししてシーンを保存する、という挙動だけは再現出来ませんでした。この操作のみ純正リモコンを使う必要があるようです。ちなみに、ボリュームやカーソルキーなどのように、押しっぱなしで連続送信したいというボタンは、長押しで登録すると出来ます。逆に、それ以外のボタンは長押しで登録すると反応しなくなりますので注意しましょう。

YAMAHA - RX-V6A(7.1ch・AVレシーバー)

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